Symphony V
自分の部屋も荒らされていたこともあっり、鑑識が捜査中で、とりあえず、居間へと戻った。

「どうしたんだ?」

唯の反応が少し気にかかったようで、レオンが聞いてきた。唯は不思議そうにレオンの方を見た。

「なにが?」

唯に言われて、レオンは少し戸惑った。

「いや、その…」

なんていえばいいかわからない。そんな顔をするレオンに、唯は少し苦笑した。

「なんかね、夢を見てるみたいな感じがするの」

「え…?」

「現実味がないっていうか、なんていうか。だってさ。ありえんでしょ?普通。仲良くなった人が次の日には遺体で発見されて。帰ってきたら部屋はぐちゃぐちゃ。何がなんだかさっぱりわかんなくって、そしたら今度は両親が部屋で」

「唯」

息継ぎなく喋る唯の言葉を、レオンが首を横にふり、静止した。

「もういい」

レオンに言われて首を傾げる。

「何が?平気だよ?」

言葉とは裏腹に、声は震え、一筋の涙が唯の頬を伝った。

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