Symphony V
しばらくすると、サイレンの音がまた聞こえてきた。真っ赤に腫れあがった目をこすりながら、唯は顔をあげた。

少しして、ガチャリと玄関の開く音がした。
唯は部屋から出て、玄関へと向かった。

「警視庁捜査一課の村儀です。…東峰さん」

唯の姿を確認した村儀は、軽く頭を下げると、うちの中へと上がってきた。

「この度はお悔やみ申し上げます。ところで、ご両親はどちらに?」

機械的に挨拶をすませ、すぐに本題に入る村儀。その後ろで、そんな村儀の言葉に、少しばつの悪そうな顔をして頭を下げる佐藤の姿があった。

「そこの階段上がって突当りの部屋です。父も母も。そこに」

そういうと、村儀は軽く会釈をして、足早に二階へと向かった。佐藤もそれに続いた。

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