Symphony V
村儀の言葉に、唯はごくりと唾を飲み込んだ。


私の両親の仇。
そんなにやばそうな人だなんて…


唯の脳裏に、あの蜘蛛のマークがフラッシュバックする。
一瞬、唯はめまいがして、思わず体がふらっとなる。
慌ててレオンが唯の体を支えた。唯は少しだけはにかみながら、レオンに小さく頭を下げた。

そんな唯にお構いなしに、村儀は続けた。

「奴はターゲット以外の殺しは絶対にしない。たとえ、自分の姿を目撃されようとも、な」

「…え?」

村儀の言葉に、唯は少し眉を動かした。

「お前の母親にも、同じようなマークが付いてたよ。そっちはちょうど、手首に当たるところだったがな」

言われて呆然とする。

「それじゃ…お父さんとお母さん、2人ともを殺すよう依頼した人物がいるってこと…?」

唯の言葉に、村儀は小さく首を横に振った。
それを見て唯は首を傾げる。

「ちが…う…の?それじゃ…どうして…」

わからない、と村儀を見つめる唯に、村儀は1枚の封筒を渡した。
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