Symphony V
「…稜夜が殺された時刻。俺は唯のことをそばで見ていた。部屋から出ていないってアリバイは、親父のSPが証明してくれる」

レオンの言葉に、村儀は眉をぴくりと跳ね上げた。

「なぜ、そこで高遠の名前が出る」


確かに。どうして稜夜先輩が殺されたときのアリバイが関係あるの?


「稜夜。あいつも紅い蜘蛛に殺されたからだ」

レオンの言葉に、唯は目を大きく見開いた。


「どういうこと!?」


思わずレオンにつかみかかる唯。少し、言いづらそうな表情を、レオンは浮かべていた。

「…今回日本に来たとき、稜夜が携帯であるマークを俺に見せてくれたんだ。赤い色をした、6本足の…蜘蛛のマーク」

レオンの言葉を聞いた村儀は、すぐにポケットにしまっていた携帯を取り出し、電話をかけはじめた。

「稜夜の遺体の肩のところに、同じマークが付いていることには気づいていた。だから、犯人が唯の両親を殺したのと同じ奴なんだってこともわかった」

少し辛そうな顔をするレオン。けれど、かける言葉が何も見つからなくて、自分も、いろんなことがぐちゃぐちゃと頭の中を回っていて。ただそっと、レオンの手をぎゅっと握った。


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