Symphony V
村儀は佐藤と少し言葉を交わすと、一度、署に戻ると言って、唯の家を後にした。


これからどうしよう。


まずは父と母を殺した人物を探しだすのが先決だ。
それが稜夜を殺した犯人にも繋がる。


蜘蛛は依頼主からの依頼を受けて、ターゲットを殺すって言ってたよね。


ということは、だ。
唯の家族に対して、恨みを持っている可能性のある人物、もしくは、存在が邪魔な人物ということになる。

が。


恨みったって…家族みんなでなんか恨みをかうようなことしたかなぁ…


うーん、と唸る唯に、レオンが声をかけてきた。

「何を考えてるんだ?」

「うーん…誰かに恨まれるようなこと、したかなぁと思って」

唯が言うと、レオンは少し考えこむ。

「家族全員が狙われるくらいだもん。絶対に何か、依頼人に対してやったんじゃないかなって思って」

唯の言葉に、レオンは少し首を傾けながら答えた。

「家族全員がって訳じゃないかもしれないぜ?」

「え?」

「例えば、何か些細なことで逆恨みを誰かがかったとして、腹をたてた依頼人が家族全員に償いをってことも考えられないか?」

レオンの言葉に、まさか、と笑った。

「いくらなんでも、それはちょっとないんじゃないかな」

しかし、レオンは真剣な表情で続ける。

「だけど、他人に殺しの依頼をするような奴だぜ?まともだとは到底思えねーし」

言われて唯は少し考え込む。


言われてみればそうだよね。
だけど…


そうなると、家族の中で、誰がきっかけになったのかわからなくなってしまう。


第一。


家族全員に償いって何様のつもりよ。




必ず見つけ出さなくちゃ。

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