真夏の太陽


試合は零点進行のまま,七回の裏に入っていた。

華座の打線は十座の球をなかなか捕らえることができず,六回終了時点で,放ったヒットは僅かに三本。

そして,羽陽打線も,ヒットを打ちランナーを出すも,得点には至っていない。

先に点を取った方が,この試合の流れを掴むとができる。

「おし!行くぞ!」

「「はい!!」」

十座はマウンドの土を均した。

いつもと同じ仕草。

投げる前,必ず十座はマウンドの土を均す。

そして,ユニフォームの左胸を掴む。

少年野球時代からの癖だ。


< 115 / 150 >

この作品をシェア

pagetop