真夏の太陽
試合は零点進行のまま,七回の裏に入っていた。
華座の打線は十座の球をなかなか捕らえることができず,六回終了時点で,放ったヒットは僅かに三本。
そして,羽陽打線も,ヒットを打ちランナーを出すも,得点には至っていない。
先に点を取った方が,この試合の流れを掴むとができる。
「おし!行くぞ!」
「「はい!!」」
十座はマウンドの土を均した。
いつもと同じ仕草。
投げる前,必ず十座はマウンドの土を均す。
そして,ユニフォームの左胸を掴む。
少年野球時代からの癖だ。