真夏の太陽
愚問
「十座。早く」
天寺の声で我に還り,ベンチの中に入る。
そこには監督を中心にして,円の形に座る選手の姿。
皆,十座を待っていたようだ。
「すみません」
「神城。大丈夫か」
愚問だ。
誰に訊いている。
そんな柔な身体も,精神も持ち合わせていない。
今までどれだけの練習に耐えてきたか。
せれらの経験があるからこそ,十座は今,マウンドに立っている。立てている。
今までの経験全てが,マウンドに立つために必要なことであり,十座に欠けていたものなのだ。
それらを手にいれた今,十座にはなにも怖いものはない。