真夏の太陽
「どれを見ればいいの?」
「は?」
「どのことを言ってるの?」
「…和良」
「気づいてない?」
天寺がなにを言いたいのかわからず,十座はベンチから腰を上げる。
「聖名さん」
いつから居たのか。
十座たちが,監督の話を聞いている間に来たのだろうか。
あるいは,試合が始まった当初からそこに居たのを,和良ばかりに目がいっていて,気がつかなかっただけだろうか。
どちらにしても,観ていてくれたことには,変わりはない。
十座たちの闘いを,観ていてくれた。
それだけで,こんなにも安心するものだろうか。