真夏の太陽


「大丈夫。三人で抑えますから」

「…言ったな」

「はい」

十座は監督から目を逸らし,もう一度,和良の居るスタンドに目を向けた。

和良はさっきと同じように,胸のあたりで両の手を絡ませ,祈るようにグラウンドを凝視していた。


和良に目を向けたまま,十座がなにか呟いた。

それは誰の耳にも届くことはなく,スタンドを取り巻く歓声と,球場にいる選手たちの大声に,掻き消された。


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