真夏の太陽
「野球すきじゃねぇのかよ」
黙った。
少年は,十座と眼を合わせようとしない。
「野球,やろう」
何を思ったのか,十座が少年の前に立った。
「だって,やりたいこと我慢すんのなんて,可笑しいだろ。母親なんて関係ねーだろ。要は,お前がどうしたいかじゃねーのか」
真剣な眼差しで,少年の眼を覗き込む。
「今は…できない」
「天寺!」
眼を合わせようとしない少年の肩を掴んだ。
「野球。やりたくなった」