真夏の太陽
視線は下を向いたままだった。
「他のポジションでもそうだと思う。ピッチャーが見せる背中。表情。仕草。ひとつひとつで,感じるんだ」
「…」
顔を上げ,南を直視する。
彼の表情は堅く,どこか緊張しているようにも受け取れた。
「俺自身。一年の頃は聖名の球が中々捕れなくて,迷惑かけた。でもあいつは,俺が捕れるようになるまで,ずっと練習に付き合ってくれた。部活が終わってからも,球を投げてくれた。肩や肘にだって負担がかかるのに。毎日,毎日」
「…」
「‘信じる’ってことは,怖いことかもしれないけど,すごいことでもあるんだ。相手との間に,信頼が生まれたり。仲間との間に,絆が生まれたり。‘信じる’って,いいもんだよ」
十座は眼を逸らさなかった。
じっと,南を見つめていた。