真夏の太陽


十座はじっと,主将の投球フォームをみつめていた。

「天寺。いくぞ!」

聖名の球を見た後すぐに,目の前にいる捕手に向かって,全力の球を投げた。

否,投げ込んだ。

捕手のミットに。

「ふぅ」

息が漏れる。

無意識のうちに。

「さすが」

「ふっ」

十座が軽く笑ってみせる。

天寺は数秒間,たった今目の前にいる一人の投手が,自分のミットに投げ込んだ球を見つめた。


< 59 / 150 >

この作品をシェア

pagetop