真夏の太陽
敗北
その後は,味方の援護や声援のおかげもあって,点差は一のまま,九回の守り。
この回を抑えれば,羽陽学院の勝利となり,決勝に進むことができる。
そんな緊迫した雰囲気の中,迎えるバッターは,哀吏未空。
なんという運命の悪戯だろう。
九回,二死,走者二塁の場面で,四番バッターに回ってくるとは…。
(神様もとんだエンディングを用意してくれたものだ)
対峙するふたりの選手が,心の内で呟いた。
「手加減はしないぜ」
「それはこっちの台詞」
聖名はマウンドで。
哀吏は打席で。
全力で闘うことを,共に誓った。
「プレイ」
主審の手が挙がった。