真夏の太陽


「…泣き顔の聖名さん,格好よかったですよ。男らしくて」

数秒間黙ってしまう。

そして,顔を赤くして立ち上がる。

「帰る」

「あ,じゃぁ下まで。お前はここに居ろ」

「へい」

「じゃあね,姫来さん。お褒めの言葉,嬉しく頂戴するよ」

「どういたしまして。さようなら」

聖名がこんなことを言うとは思わず,笑ってしまった。

「笑ってんなよ」

「はぁい」

ふたりは階段を降り,玄関へ向かった。


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