真夏の太陽
「…じゃあな」
「はい」
そんな会話をしたのは初めてだった。
楽しい。
もっと話してみたい。
聖名陽世という男を,もっと知りたい。
そう思った。
「遅かったね」
「あぁ」
数秒間の沈黙の後,和良いが言った。
「来年は行ってよね。甲子園」
「当然」
この言葉が,明日に繋がってゆく。
翌日の練習から,新主将・十座が誕生した。
戸惑うこともせず,聖名のように,聖名に負けないくらい,主将という大役をこなす。
来年の甲子園へ向けて,走り出す。