狼王子
~悠斗side~

俺は菅原悠斗。
今は眼鏡を掛けてるけど
中学は付けてなかった。
つけた理由は俺顔かっこいいから
顔しか見ないで好きだ、って言ってくることに
嫌気がさした。
だから高校は眼鏡を掛けて陰気なやつを演じてみた。

眼鏡を掛けてから
女子に嫌われるってこんなかんじなんだなぁ。って。
嫌われることが嫌じゃなかったし。
逆に嫌われたかった。
そんな俺に初めてほかのやつと同じように
笑ってくれたのが川北だった。
久しぶりに見た愛想笑いとかじゃなくて
本物の笑顔が俺には眩しかった。

「気になりだしたのはあれからかなぁ。」
資料室で川北を待ってるときに声に出してみた。
外を見ると川北と仲がいい海十が出てた。
海十は川北が好きなんだけど当の本人は気づいてないらしい。
でもあいつに向ける笑顔は他のやつに見せる笑顔より
輝いてた。
…好きなのかな??
ぐっと胸が締め付けられるような痛みがする。
別に好きなんかじゃない。

…ぼーっとしてたらしい。
川北がドアを開けた音が聞こえなかった。
川北が喋ってやっと川北が入ってきたことに気づいた。


なんか言ってるなぁ。って思って
「ん??」って首を傾げると
かぁああ///って赤くなって。
1人で格闘してるし。
…こいつってこういうやつ??



あれから1週間も資料室の掃除。
いつも通り掃除してたら
男があいつにキスしようとしてた。
かぁああ。って頭に血がのぼった。

スっ。いつぶりだろう眼鏡を外したのは。
高校に入って外すつもり無かったのに。
…ってか俺なんでこんなに怒ってんの??
「これ俺のだから。」
って、ふいに出た言葉に自分自身がびっくりした。

…俺は、なんとも思わないようにしてた。
どうせコイツも他の女と一緒だと思うから。
でも、この『へ??』ってアホ面してる
コイツの顔を見たらコイツを好きになっても
いいかな。って
コイツは他のやつとはちがうって思ってもいいかなぁ。って。

次の日眼鏡を外して行ったら
…案の定視線が痛い。

「菅原ぁ~!!」

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