キ ミ イ ロ
「……病気?」
「うん、詳しくはしらないけどっ」
櫂兄は、強がっているように見えた。
おばあちゃんが亡くなったことを、すごく軽々しく話した。
きっと、辛かったから。
すごく辛かったから、わざとそうやって言ったんだと思う。
「…さっ、行こっか!!」
パッと雰囲気を変えて、櫂兄は歩き出した。
自分は櫂兄について行く。
本当に何もない道を2人で。
息を吸えば、体が開く感覚。
地元の息苦しさとはまったく違う。
すごく新鮮だった。
空気も、隣にいる櫂兄も。