キ ミ イ ロ
笑顔を向けてくれる櫂兄の頬が、
ドーンという音とともに微かに光った。
「始まった…」
小さく呟いて空を見上げる櫂兄が、一瞬だけ、幼く見えた。
自分も同じく、空を見上げる。
カラフルで、
大きくて、
眩しくて。
ドーンという音が、心臓に響く。
ずっと花火を観てた。
目に焼き付けておきたくて。
いきなり膝の上においてあった手の甲に、一滴の雫。
──・・・雨?
じゃない。
ただ、頬が濡れているのがわかった。
この雫が涙とわかったときにはもう、観ている花火がすごく滲んでいた。