キ ミ イ ロ
そのまま、耳に押し当てる。
「……はい」
そう一言。
すると、いかにも急いでいるような口調で、女の人の声。
「涙…、涙ちゃん?」
──・・・なんで名前……
「……そうですけど」
不審に思いながら一言。
「……涙ちゃんのお父さんがね、昨日事故で亡くなったの」
──・・・お父さん?
お父さんって、自分がまだ
“河原涙”だったときの?
「……もしかして、河原さん、ですか」
「はい」
自分の、本当のお父さんが?
自分を捨てたクソ親父が?
「………死んだ…?」