キ ミ イ ロ













「あ、終わった?」


「……うん」




お母さんは既に車に乗って、混雑している駐車場から車を出していた。


櫂兄は他になにも訊かなかった。




そこが、櫂兄の優しいとこ。


傍にいてくれる優しさ。
そこは誰よりも大人だと思う。




「…腹減ったーっ」



その代わり、明るくそう言って笑ってくれる。


「…………」





自分はただただ黙ってた。
傍に櫂兄がいるだけでいいと思った。




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