キ ミ イ ロ
直にお母さんが来て、車に乗り込んで家に向かう。
「…………」
車の中は静かだった。
誰もなにも言わなくて、自分が開いたケータイの画面の明るさと、微かに聴こえるバラード系の音楽。
ケータイを開いて、持っていたイヤホンを着けて、音楽を流す。
今の静かな空気を、打ち破るような音楽。
外の真っ暗な景色を見ながら、聴いていた。
でもいつもみたいに晴れるような気分にはなれなくて。
パッとピントを変えて、窓に反射する櫂兄を見た。
なんとも言えない。
──・・・複雑。
何故かもやもやした感じが体に広がる。
なんだろ、これ。