キ ミ イ ロ













自分は……
成績は悪くなかったけど、特にやりたいこともなかったから地元の高校行ったんだ。


まあ、早妃も愁も和真もそこって言ったからもあるけど。




「そーいえばさ、涙、花火のときにありがとうって言ったよね?」


──・・・ありがとう?
……言ったっけ?


『……ありがとう』



ああ、言ったな。


「……うん」

つーか聞こえてたのか。
てかいきなりなんだ唐突に。




「最近涙、変わってきたような気がするのは俺だけ?」



──・・・変わってきた?


「……なにが?」


「自分の気持ちを言えるようになってきたよ?」






自分の気持ちを?
そんなもの、押し殺して我慢すれば、面倒なことにならないだろう?


そんなもの、主張したって意味ないだろう?
どうせ誰も聞いちゃいないんだ。





そうしてるうちに、
自分が自分ではなくなって。


自分がなんなのか、わからなくなって。




だけど、


「……櫂兄、だけじゃ、ない…、たぶん……」






『らしくない』


最近そう思ってるのは、自分が変わってきたからか?






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