キ ミ イ ロ













──・・・どうしてこんなんになっているのか、わからなかった。





「……愁?」


「…ちょっとだけ」



そう言って、腕の力を強める。

そしてゆっくり離れて、「ごめん」と呟いた。






「また来るよ」


軽く手を振って、病室を出て行こうとした愁。



急に立ち止まって、







「大切なもの、見失うなよ」




そう言った愁の顔は、どことなく寂しそうで。







愁が言った言葉の意味を、ずっと考えていた。




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