キ ミ イ ロ
そう思ったときだった。
小さな音で、ゴーッと鳴っているのを。
それはベッドの隣にあった。
白くて大きくて、フィルターなようなものが付いている。
それが入り口にも、窓の近くにも。
これがなにか、考えたらすぐわかるのに。
自分はきっと。
──・・・逃げたい。
そんなこと、ありえない。
そんなはずない。
でもなんで。
「涙ちゃん、今日から」
阿藤先生はマスクしてるの?
──・・・わかった。
「……無菌室?」
無菌室、だって。