キ ミ イ ロ













──────


毎日毎日、無菌室に閉じ込められてる。
テレビをつけても特になにもやってないし、暇過ぎる。




暇に飽きて、ベッドに潜ろうとしたときだった。


「るーいっ!!」




久し振りに聴いた、少し高い声。


「……早妃」




マスクをした早妃が入ってきた。


「病室変わったんだねー、いいとこじゃんっ」


「……まあね」






ま、設備も整ってるからいいとこには変わりないけど。
だけど、とにかく暇なんだよな…



「…早妃、一人で来たの?」


「ううん、連れが一人。多分今必死に深呼吸してるよ」




笑いながら早妃。
必死に深呼吸?


理解不能…………




すると、病室の外で「よしっ!!」と声が聴こえた。


首を傾げると、早妃はニンマリ笑って。







「涙、誕生日、おめでとーっ」


と言った。
それだけで嬉しいのに、
「ちょっと遅かったけど」
そう言いながら病室に入ってくる愁。




しかもその手には、キレイな花束が握られていた。




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