キ ミ イ ロ













愁と初めて会ったとき、あのときから、他の男子とは違う、そう思っていた。


──・・・初めて会ったのは中学一年のとき。






中学の入学式からあの金の髪で、入学式早々、呼び出しされていたのを覚えてる。


入学してからすぐ、早妃と仲良くなった。
早妃を通して、仲良くなったのが愁。




「井沢さん」
そのときはもう、両親の離婚は成立していた。


だから、今の愁からは考えられない、自分の名前を“井沢さん”って呼んでた。






──・・・“井沢さん”から“涙”に変わったのは、




「井沢さんの名前、いい名前だよね」


そう愁に言われてから。


「……自分はあんまり好きじゃないけど」




──・・・お父さんが付けた名前だから。


「なんで?すっげーいい名前じゃん」


「……よくないよ」


「俺は好きだけどな、涙っての」


「……………」






涙って名前のどこがいいんだ、そう思考回路を回していたとき、




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