キ ミ イ ロ
「…どうって?」
「どう思ってんのかなーって」
──・・・返答に困る。
だから黙り込むしかなかった。
「愁のこと、嫌い?」
「違う」
返答が早かったことに、早妃は目を見開いた。
「嫌いじゃない。そんなわけない」
絶対違う。
嫌いじゃない、そんなわけない。
「…そっか」
ため息一つ、早妃は席を立つ。
肩に掛けていたかばんを、一回下ろしてかばんの中を探りながら
「…愁、涙のこと好きだったよ」
目を見ないでそう言う。