キ ミ イ ロ
ただ、愁に謝りたくて。
枕元にあったケータイを握って、着信履歴を見て、『愁』の名前を押す……ところで手を止めた。
謝ってどうする?
その考えが頭を駆け巡る。
「…………」
──・・・だけど。
写真を握りしめながら、ケータイの発信ボタンを押した。
やがて聞こえてきたのは無機質の機械音。
一定のリズムを刻む音は、なんとなく心をざわつかせた。
そして、
「…はい?涙?」
──・・・愁。
「……愁、」
いきなりごめん、そんなことは言わずに、ただ謝りたくて。
「……涙?どうした?」
「ごめん」
「……なにが?」
「…………聞いてやれなくて」
無意識に、声が震えてしまう。