キ ミ イ ロ
「……だよなぁ」
静かに言った愁の声を聞きながら、下唇を噛み締める。
熱くなった目頭。
歪む世界。
滲む病室。
「……愁、」
──・・・『ごめん』
それだけじゃ、足りないから。
「…なに?」
もしかしたら、愁に初めて言うかもしれない。
「………ありがとう」
好きになってくれて、の意を込めて。
「……うん」
微かに聞こえる震えたような声の愁。
そして、
「また、見舞いに行くよ」
とともに、無機質な機械音が響いた。