キ ミ イ ロ













自分ではなにも出来ないことくらいわかってる。


先生に、病院に、薬に、
縋るしかない、いまは。




「涙、体調どう?」


久し振りに、櫂兄が顔を出した。
少し暑い上着を着て、すっかり変わった櫂兄の服装に、もう冬になったんだと季節を感じた。








「…大丈夫」




大丈夫、そう言わないと。


──・・・本当に大丈夫じゃなくなりそうだから。






櫂兄と話したいけど、
なにを話せばいいのかわからない……


「……あ、」




そうだ、プレゼント。
櫂兄の誕生日プレゼント、今渡そう。


そう思って、ベッドの上から動き出した。




< 232 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop