キ ミ イ ロ
自分ではなにも出来ないことくらいわかってる。
先生に、病院に、薬に、
縋るしかない、いまは。
「涙、体調どう?」
久し振りに、櫂兄が顔を出した。
少し暑い上着を着て、すっかり変わった櫂兄の服装に、もう冬になったんだと季節を感じた。
「…大丈夫」
大丈夫、そう言わないと。
──・・・本当に大丈夫じゃなくなりそうだから。
櫂兄と話したいけど、
なにを話せばいいのかわからない……
「……あ、」
そうだ、プレゼント。
櫂兄の誕生日プレゼント、今渡そう。
そう思って、ベッドの上から動き出した。