キ ミ イ ロ
「涙?」
櫂兄が不思議そうに顔を歪める。
構わずに、真っ黒の袋を取り出した。
それを見て、頭の上に?を浮かばせた。
そしてそれを、自分は櫂兄に差し出す。
「……櫂兄に、プレゼント」
──・・・誕生日、おめでとう。
そう言いたかったのに、櫂兄の言葉で遮られてしまう。
「まじ?」
袋を見ながら、びっくりしている櫂兄。
つい、笑みがこぼれた。
「……ありがとな、涙ー」
袋を見ながら、嬉しそう。
──・・・何故かその一瞬、涙が出そうになった。
それだけ、幸せを感じたの。