キ ミ イ ロ













櫂兄がイスのところに再び戻ってきて、


「クリスマスには、プレゼントが必要だよな」


「……え?」






──・・・櫂兄にクリスマスプレゼント、買ってない……


そんなこと考えてたら




「……メリークリスマス、涙」








もう何年も言ってもらってない、“メリークリスマス”。




それだけで嬉しいのに、それに加えて


「……プレゼント、受け取ってくれる?」








──・・・雪の白さだけが照らす病室。





櫂兄の表情が見えないまま、差し出されたものに、視線を移した。




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