キ ミ イ ロ













触れていただけの櫂兄の手が、だんだんと手を包むように。


そしてゆっくり、指が絡まる。




カチ、とリング同士が当たる。


──・・・緊張、する。






「…………」


「…………」




握られた左手が熱くて、


体に、顔に、熱が籠もるのがわかった。




そして後頭部に手が伸びた。
優しく髪を撫でるのは、この感覚からして櫂兄。






──・・・櫂兄だから、安心する。




< 251 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop