キ ミ イ ロ













初めての感覚でよくわからない。


だけど目をうっすら開けたら、





──・・・櫂兄の顔が、目の前にあって。




それに恥ずかしくなって、再び目を瞑る。


だんだんと握る手の力が強くなって、髪を撫でる手にも力が籠もった。










少し経った後、ゆっくり絡んだ指が解かれた。
髪を撫でる手も離された。





そして
「……ごめん」




櫂兄は静かにそう言った。








──・・・どうして?
なんで謝るの?




自分はただ、自分から少し距離を置いた櫂兄の顔が見たくて。


「………櫂兄?」






──・・・櫂兄、顔が見えないよ。



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