キ ミ イ ロ













「……お兄さんのためにも頑張らないとね」




先生の声で、パッと思い出す。
これから骨髄移植なんだ。


──・・・『待ってるから』







待ってるから、櫂兄が。
これが終わったら、自分も言わなきゃ。




伝えなきゃ。







そう思いながら、ためらうことなく『手術室』に閉じこめられた。






入ったことのない部屋、今までより少し違う緊張感が押し寄せた。
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