キ ミ イ ロ













ならなんで、まだこんなにチューブが通ってる?


手術前と変わらない、腕には針が刺さってる。
鼻にはチューブが通ってる。




なにも大して変わっていない。




櫂兄が、ふっと離れる。


出来れば、離れたくなかった。





まだ櫂兄のぬくもりを感じていたかった。
人肌のぬくもりを、焼き付けておきたかった。


──・・・『好き』って




伝えたかった。


でもわかってた。
言ったって、




どうせ『もうすぐ』なんだから。
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