キ ミ イ ロ













それを思うと、言うのをためらった。


だけど、好き以外に




言わなきゃいけないことが、自分にはあったはず。


自分の気持ちはまだあとでいい。







思い切り、息を吸った。



「……櫂兄」


蚊の鳴くような、細くて小さな声が出た。






「…ただいま」


その一言。






だけどすぐ、『サヨナラ』。
< 299 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop