キ ミ イ ロ
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ケータイを開いた。
櫂兄のアドレスを出して
パコパコと打っていく。
真っ暗の病室に、白い明かりが広がる。
ようやく打ち終わったあと、ゆっくり、目を閉じた。
櫂兄からもらったリストバンドと
クリスマスにもらったピンキーリングを、
大事に手に握って。
『大切なもの、見失うなよ』
愁、いまならわかる気がする。
『そばにいる』
櫂兄、大好きだよ。
白い世界が、また再び、自分の前に現れる。
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病室に浮かぶ、白い画面に『送信しました』の文字。
そして黒く
『ありがとう』
と
『ごめんなさい』
答えられなかった、自分を許してくれる?
いまの最大の応え。
大好きな、あの人に届け──・・・