キ ミ イ ロ
「涙、こちら、敷浪さん」
お母さんに紹介される。
──・・・敷浪?
ぺこりと軽く頭を下げて、
「井沢涙、高一、です」
と名前だけ言って、何故かドクンと胸が苦しくなる。
──・・・『………、高二、です』
デジャヴ?
でも高二って……
そう思って首を振った。
お母さんが頼んだだろう、アイスティーが目の前に置かれる。
お母さんの前にはアイスコーヒーが置かれた。
突き刺さっている白いストローをクルクルと回した。
氷がカラカラと音を立てて回る。
その音が、なんとなく心地よかった。