キ ミ イ ロ
ちらっと“お父さん”を盗み見て思う。
──・・・いい人そう。
垣間見える笑顔が、すごく優しかった。
「そういえば、櫂くんは?今日来ないの?」
「もう少しで着くって言ってたから…、バイトで少し遅くなるって」
ハッと、なにかに気づいた。
『櫂』
その名前に、確かに覚えがあったんだ。
──・・・『そばにいる』
『涙、』
『涙、』
『……好き、待ってる』
『おかえり』
『涙、大丈夫』
そう言って抱きしめてくれた、あの人。