キ ミ イ ロ
たくさんの人が、駅内で交差する。
立ち止まる自分を、
なにも見ないように通り過ぎて行く。
──・・・気づかないかな。
気づかない、よな。
ヤバい、泣きそう。
溢れそうな涙をぐっとこらえて俯いたとき、
見覚えのある靴が目の前でピタリと止まった。
遠い遠い、
自分の中だけにある記憶、
「……涙」
あなたは、
自分をちゃんと見てくれました。
「…泣いてんの?」
あなただけが
暗い心を照らしてくれました。
「……涙、」
あなただけが
見つけてくれました。
すべて、あなただったの。