キ ミ イ ロ
ガラの悪い奴らに絡まれることは何回かあった。
サツに連行されることだってあった。
「涙ーっ♪」
早妃が手を振ってる。
和真も軽く手を上げて、
自分も振り返して、愁と歩いた。
ゲーセンの中は、涼しかった。
暑い夏の今には天国。
ゲーセンに入ったからって、何をするわけじゃない。
何もしずに、たまってることが多い。
ただ話すだけの場所。
「そーいやぁさ」
こーやって毎日、時間が過ぎる。
家にいることなんてあまりない。
居心地が悪いし。
だから大抵はこの4人。
夜だって、朝まで帰らないこともある。
だけど、ケータイの着信履歴には
お母さん、っていう名前は一個も載ってない。
心配してくれない。