キ ミ イ ロ













思い切り息を吸った。


「子どもが何を言っても変わらないんだ」


とだけ。



“子どもが何を言っても変わらない”


どーせ本音を言ったって、櫂兄も変わらない。




そんなんだから、自分の感情を隠すんだ。
本音を言ったところで何も変わらないなら、自分を塞ぎ込んだ方が楽だ。




「だから、言わないの?」


「そーだよ」



表情にも出さない。
気を許してる奴らは大抵の奴らのみ。


そう決めてるんだ。



「………涙、帰ろっか」


そう言って櫂兄は歩き出した。



──・・・ほら。
予想通りだ。




< 44 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop