キ ミ イ ロ
2.心のキズを見せたなら。
必要ないものは捨てた。
本当は、家族だって捨てたい。
自分には必要ない。
「涙?」
櫂兄の言葉が、胸に突き刺さる。
ハッと我に帰って、気がついたときには登校中だった。
忘れてた。
櫂兄は引っ越して来たから、学校は一緒だったんだ。
「……緊張するなあ」
隣を歩く櫂兄は、口々にそう言った。
──・・・緊張?
そんなもんか?