キ ミ イ ロ
「待ったかしら?ごめんなさいね」
車に乗って着いたのは、駅前のカフェだった。
興味も何もなかった。
前を向かずに、外の景色ばかりを見てた。
勝手に話して、勝手に再婚すればいい。
今なんて言ったって、どーせ勝手に決まる。
意見なんかない。
お母さんに誘導されて、ソファーに座る。
「櫂くん、久しぶり」
お母さんの急に優しくなった声でハッとする。
櫂くん……?
景色を見るのをやめて、前を向いた。
『お父さん』になる人のその隣には、もう一人、男が座ってた。
──・・・子連れか?
「こんにちは」
にっこり笑ったその人。
──・・・なんで笑ってられるんだ。
親が再婚するってのに。
イヤじゃないのか?