“シ”は幸せの音♪ ~俺様バイオリニストと凡人ピアニスト

 「やばい、って?」

 「あ、うん。
 佳音のパートナーさあ…」


 「「「「キャーーーーーーーッ!」」」」


突然、後ろから悲鳴(という
より黄色い声)が上がって、
あたしと朱子ちゃんは、振り
向いた。

たくさんの女の子。
キャピキャピしたピンクの
オーラ。

その中にいたのは…

 「うるさい」


長身で程よくしまった体。
ナチュラルにセットされた
黒髪に、センスのいい服装。

茶色いプラスチックフレーム
のメガネと甘いマスク。


 「「「「キャーーーッ!
 菊池せんぱぁい!!!」」」」


菊池響介先輩。

あたしたちより1こ上の学年
で、バイオリン専攻。

その類い希なる才能と、両親
が音楽関係者ということもあり
ついた字は“音楽の申し子”!

学園1の優秀生徒で、
学園1の有名人。(ちなみに、
学園1のモテ男でもある)


 「悪いけど」

そんな菊池先輩が、メガネを
直し言い放った。

 「キャーキャー煩いから。
 てか、邪魔。どいて」


…ひどっ、
っていうか、性格悪すぎ。


頬がピクピクしているあたし
の前で、女の子たちは

 「「「「はぁ…っ、
 そんなSな菊池先輩も
 素敵っ」」」」

とかなんとか。

ドMかっ!


 「あれだ…」

菊池先輩の後ろ姿を見て、
朱子ちゃんが言った。

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