“シ”は幸せの音♪
~俺様バイオリニストと凡人ピアニスト
………………はい??
WHAT???
「理解してないみたい
だけど…
佳音のパートナー、菊池先輩
だから」
………ちょっと待った。
菊池先輩って行ったら、
学園1優秀なバイオリニスト
で、毎年優秀な人としか
組まないはず。
去年のパートナーは確か、
2つ上、つまりもう卒業した
先輩で…
学園オケのコンマスだった人。
「嘘…でしょ」
「嘘じゃないって、ほら」
朱子ちゃんの指差す先には
“2年ピアノ専攻、上原佳音”
の文字の横に
“3年バイオリン専攻、菊池
響介”の文字。
「な、何かの間違いじゃ…」
「ないわよ、ほら」
今度は、
“3年バイオリン専攻、菊池
響介”の横に
“2年ピアノ専攻、上原佳音”
ななななな、なんで?!
「さあ?
でも、良かったじゃない。
菊池先輩、超かっこいいし
お近づきになれるチャンス
でしょ」
「嫌だ…」
嫌だ、絶対に嫌だ。
あんな上手い人とあたしみたい
な凡人がうまくやってけるわけ
がない。
「そんなこと言わずに。
きっと楽しいって!
あ~、あたしはくるみ先輩で
良かった!気楽だし」
おいおい、朱子ちゃん
本音が漏れてるよ…
朱子ちゃんだって、菊池先輩
となんて絶対嫌なくせに。
「ど、どうしよ…」
こうして、あたしの暗黒の
高2生活が幕を開けたのだった。