“シ”は幸せの音♪
~俺様バイオリニストと凡人ピアニスト
「あ、あの…っ」
まさか…、
よっぽどの事情があっての
ことなの?
「そんなこと」
眉をひそめるあたしに、先輩
は冷ややかな目を向ける。
「考えてる暇があったら、
ピアノを引いたらどうだ?」
スパルタかよ………。
なんだか胃のあたりが痛く
なってきたような…
そして、
菊池先輩は宣告した。
「俺様のパートナーになるん
だから、妥協は許さないぞ。
絶対に。
覚悟しとけ」
―――――――
―――――――――……
「待て、上原ぁぁぁああ!」
「ひょぇぇぇえええ!!」
というわけで、あの後。
あたしは素直に、覚悟なんて
できてません、と言った。
だって、覚悟なんてできて
なかったし…
だけど、当然のごとく、先輩
は怒った。