ただ、声をあげよう。
ばあちゃんはずっと変わらないものだと思い込んでた。

前にあったときは、ちゃぶ台の上に食べきれないほどの料理を並べてた。

次から次へと料理を出して「食べんね」とあたしにも明生にも勧めてた。

明生なんか、ばあちゃんに「食べんしゃい」って言われて断れず、おなかがはちきれるほど食べて和室にひっくり返ってた。



いつのまに・・・・。


じいちゃんがきゅうりを籠に山盛りにして和室に戻ってきた。


「じいちゃん」

「なんね?」」

「ばあちゃん、いつから」

「いつもじゃなかよ。いつもはじいちゃんと2人ばってん、普通に生活するには問題なか」


じいちゃんはきゅうりに塩をつけてがりりとかじりついた。


「じいちゃん、施設とかグループホームとかいろいろあるが。そういうとこにばあちゃん入れたら?じいちゃんだけでばあちゃんの世話するのは大変でしょう」

「老人ホームか」

「今老人ホームとか言わないし、ホームヘルパーさんとか来てくれるでしょ」

「じいちゃんはばあちゃんをそういうとこに入れるのは好かん。それに体はなんともなかよ。大丈夫、お前が心配することじゃなか」


あたしはそれっきり何もいえない。


「めし、作るばい」


じいちゃんはきゅうりを抱えて出て行った。

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