ただ、声をあげよう。
「2人で食うとるけん、野菜が多すぎる。取りきれんぶんはああして大きくなりすぎる」

「もったいないね。うちなんて子ども生まれるからわざわざ有機野菜っていうの、通販で買っとるがね」

「美幸、お前覚えとるか?小さい頃お前、ばあちゃんの背中できゅうりばとって全部ネンネコの中にいれとったと。ばあちゃんが急に美幸が重くなった重くなったって言うて、お前下ろしたらきゅうりがたくさんボロボロ落ちてきたと」

「なあ、じいちゃん」

「おばけきゅうり言うて、あんまり大きぅなりすぎたきゅうりはお前食わんかったな」


じいちゃんは豪快にスイカにかぶりつくと種を庭に向かって勢いよく吐き出した。


「今年はもう、スイカ終わりたい。中身がカスカスになってしまった」


あたしはスイカに塩をかけてスプーンですくう。

できるだけさりげなく聞こうとした。


「じいちゃん、なんでばあちゃん、飛行機見て「父ちゃん」っていったんだろ?」


じいちゃんはあたしの方をじろりと見てスイカにかぶりつく。

あっという間に赤い部分はなくなって、じいちゃんは次のスイカに手を伸ばした。

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